第七話 殺したばかりの牛を生で食べられますか?
お腹が腫れ上がっている子達。エチオピアには、体全体はがりがりで本当に骨と皮だけなのに、お腹が出ている子がたくさんいます。
原因はいろいろなのですが、その原因のひとつに、マニストリッション(栄養失調)があり、私も昔にテレビで飢えに苦しんでいる人たちのニュースを見たときに、その体型を見たのを覚えています。
栄養失調になるといろいろな症状が体にでます。そのひとつに浮腫のような症状があって おなかだけが膨れ上がります。
施設にも、何人かの女の子が体は骨と皮だけなのに、おなかがパンパンに腫れ上がっていました。
さわってみると浮腫との違いはわかるのですが、テープワーム(さなだ虫)の子も何人かいました。
テープワームは、浮腫よりももっとお腹が風船みたいに、はちきれそうなほどおおきくなります。テープワームがお腹の中いっぱいにいていくらこの子たちが栄養のあるものを食べても、テープワームがすべて食べ尽くしてしまうため、その結果、体はがりがりにやせこけて、テープワームがお腹の中で大きくなるため、本当にお腹がパンパンでしゃがむのもたいへんなほどです。
この施設では、週によければ1回お肉を食べれる日があります。その前日、どこからともなく牛が3頭やってきて、殺されるのを待ちます。
エチオピアの牛はかわいそうなぐらい細くて、お肉あるのかな、って思ってしまうほどです。土曜日の朝、患者さんたちもたくさんみんな見守る中、牛が殺されます。
最初は残虐でびっくりしたのですが、そのお肉を煮込んで次の日のみんなの大好きなお昼ごはんになります。
数人の患者さんが、残された殺された牛の皮や頭とともに落ちていた肉片や皮の部分に少し残ってついているお肉を手でつかんで口にいれて食べていて、あーって思いました。
テープワームを体に取り入れてしまう原因のひとつは、殺したばかりの牛や、やぎなどを そのまままだお肉が温かい血が滴っているうちに食べるからって聞いていました。
口のまわりを牛の血で真っ赤にして食べてて、
「だめー食べちゃだめー出して出してー」
っていって時々無理やり口の中から取り出します。
日本にいたら絶対モデルだよーっていうぐらいエチオピアの子達は本当にかわいいきれいな顔立ちをしているのに、このギャップに驚いてしまいます。
2007年5月4日 原題「さなだ虫」