プラ子旅する

第二部 「無邪気に」

屈託のない無邪気なその笑顔が嬉しい!プラコの大切な人たち

 

第一話 モノは、いらない

施設の外を歩くと、どこにいっても物乞いの人がたくさんいます。

 

小さな子供達もキャラメッラ、チョコラータ スッチン(キャンディ、チョコレートちょーだい!)

って近寄ってきます。ほぼみんな、ファレンジ(外国人)は自分達よりお金持ちだってこと、知っています。

 

施設内の患者さんは、時々支給されるキャンディやビスケットをとても楽しみにしています。

 

私が、飛行機に乗ってここまでやってきたこと、それがいかにお金がかかることかみんな知っています。

 

それでもここにいるほぼみんなが欲しがるものは、物ではなく、ハグやキスやアテンション、一緒に過ごすほんわかした時間、それを一番欲しがります。

 

HIVポジティブになった子はみんなとても高い確率でTB(結核)になってしまいます。

TBの子達がいる病室にいくときはマスクを必ずするように指示がありました。

骨結核や皮膚結核の子も多いのですが、やっぱり肺結核の子も多くて、その子の口から空気感染する恐れがあるためです。

 

TBの症状の1つで、皮膚におおきなしこりのような塊が体中にできたり、皮膚の下にたくさん膿がたまってしまう子には、腫れ上がった皮膚に大きな注射器を何回もさして何日かかけて膿をぬきとったりします。

咳をし過ぎて嘔吐を繰り返す子もいます。

 

私はその子たちにハグしたりキスしたりしてました。

アレンという女の子が、

 

「チャラカだめだよー私たちは誰ともキスしたりハグしたりしちゃだめなんだよー。

チャラカーにうつっちゃうもん」

って注意してくれたりして。

 

でもこのとき、それよりも、自分が具合悪いときに、ただおでこに手をあててもらったり毛布をかけ直してもらったりすることで、どんなに安心をもらえるか私なりにわかっていたのでほかの病気の子たちと同じように接していました。

 

このTBの病室で働いていた、ワーカーの子が体調不良を訴えて何日かお休みしていました。

数日後、検査の結果、結核に感染してしまったとのこと。

みんなで心配していたら、HIVの血液検査もうけ、その結果、ポジティブ反応がでてしまったとのこと。

 

エチオピアの子達は、親からHIVを母子感染でもらっている可能性も高く、それでもみんな検査を受けることなく日常を送っていて、何年かした後、何かの拍子、体調の急激な変化、でわかったりする子も多いです。

 

この子の場合も感染原因はさだかではありませんでした夜間、ここで働いていて、少しだけ眠り日中は、学校に頑張って通っている子でした。

 

その数ヵ月後、他の合併症を併発して亡くなったということだけ聞きました。

あんまりにあっというまのことで、彼女が担当していた病室のみんながすすり泣く声、やりきれなくてたまりませんでした。

 

2007年4月8日 原題「みんなの欲しがるもの。」