第五話 今一番、買いたいもの、なんですか?

イエメンからアディスの空港に初めてついたとき、空港きれいだし、道路はしっかりアスファルトだし、ビルもあるし、ヒルトンホテルもあるし、なかなか都会だなぁって初めは思いました。

 

でも少しアディスから離れたり、アディスの中でもみんなが住んでいるバラックのお家に いくと、ろばや、やぎがたくさん道にいたり、もちろんコンクリートではなくて砂埃とチリがすごかったりです。時々、馬が道ばたで死んでいて、おおきなハゲタカ?ワシ?が犬たちと一緒に馬を食べていたりして、なんともいえなかったりします。

 

でも家の外で、火を起して晩御飯の支度を赤ちゃん背負ってするお母さんや、その周りで他の子供たちもみんなでボールを蹴って遊んでいたり。

貧しい環境だけどのどかだなーなんて思いつつ、ふとその子たちのつかっているボールをみてみると殺されたヤギの頭だったり。

 

患者さんでも6歳ぐらいの女の子が、

 

「チャラカ-エネリジュアンレンバッタンコンジョ」

(さやか私ね、赤ちゃんいるんだよーすっごくかわいいよー)

 

ってゆって人形を布にくるんで抱いている感じで、あーあの人形かな…って前に他の子がもっていた、人形、目がなくなっていて、髪の毛もぐしゃぐしゃのちょっと見た目がかわいそうな感じの人形かな、って思いつつ、見せてーって布をめくると、小さなにんじんでした。

でもニンジンだけど少しまたの部分もあって、その子は自分の髪の毛をそのニンジンにつけて、大切に1日中もっていました。名前もつけてすごくかわいがっていて、でもやっぱり数日後には干からびてきてしまっていて。

 

 

その子はきれいなお人形が欲しいなんていわずただクシュナ(キッチン)に行って人形のような形をした次の赤ちゃん候補のにんじんを一生懸命歌を歌いながら、さがしていました。

 

お金がなくて物が買えない。

小さな子でも十分わかっているんだなって思うこういう場面をいろんな場所で、何回も見て、改めて色々、考えさせられました。

 

2007年4月8日 原題「おもちゃのこと」